2月に涅槃図と共に本堂に飾らせて頂いております。

 

 

中国の浄土教の高僧、善導大師様が『現世ではお釈迦様の教法に帰依し、死後は阿弥陀仏の誓願(南無阿弥陀仏と唱える事』)を頼みとせよとの教え』を分かりやすく、たとえ話を基にお示しになりました。(観経疏より)

 

旅人が西に向かって行くと、忽然として二つの河に出会う。

火の河は南、水の河は北にありそれぞれ河端は100歩(1歩75センチとして約75メートル)深くて底無く、南北に無限に続く両河の中間に幅4~5寸(1寸は約3.3センチとして15センチ)の白い道があって、両側から水と火が絶えず押し寄せている。

広野に頼るべき人もなく、一人ぼっちで、しかも群賊悪獣が後ろから追ってくる。引き返しても、立ち止まっても、前に進んでも、死を免れない。

そこで河に挟まれた白い道を進んでいこうと決意すると、たちまちに、東岸(娑婆世界)にあって『汝、ただ決定してこの道を尋ねていけ。必ずし死の災難はなからん。もし止まらば、即ち死なん。』とお釈迦様のお勧めの声があり、また西の対岸から『汝、一心正念にして、直ちにに来たれ、我、汝を護らん』と阿弥陀様の呼ぶ声がある。

東岸の群賊たちは、この道は邪悪で死ぬに間違いないから、我々の所へ戻れと誘う。しかし、旅人は、その誘いに一顧だもすることなく、一心に白道を直進し、西岸に達

して安楽の世界にいたり、諸難を離れ善友と共に喜び楽しむ事が出来ました。

 

◎東岸・・・娑婆世界、この世  

◎西岸・・・極楽浄土、あの世 

◎群賊悪獣・・・我々の煩悩

◎火の河・・・私達の心の中、怒り、恨み ◎水の河・・・私達の心の中、欲、むさぼり

◎白道・・・浄土往生を願う、清浄の心(南無阿弥陀仏と唱えること)

◎一人で旅をするということ・・・常に悪友と交わり、真の先生、師になかなか会えないということ

◎東岸の声・・・お釈迦様の教法 

◎西岸の声・・・阿弥陀様の本願  

◎群賊の誘い・・・念佛の信者でない人々、悪見の人々

 

この様子を表した『釈迦は行け、弥陀は来いよと呼ぶ声に、押され引かれて、まいる極楽』という有名な和歌があります。